「SIerはやめとけ」「SIerに将来性はない」――ネットでよく見かける言葉です。SIerで10年働いてきた筆者(平凡PL)としては、半分当たっていて、半分は言い過ぎだと感じています。
この記事では、公的なデータと現場の実感の両方から、SIerの将来性と「SIerで働き続けるべき人・外に出るべき人」を整理します。
結論:SIerという業界は残る。ただし「どんなスキルが身につくか」は会社と立ち位置で大きく変わる
IT人材の需要そのものは今後も高い見込みです。経済産業省の調査(2019年)では、2030年にIT人材が最大で約79万人不足するという試算が出ています(需要の伸び方によって約16万〜79万人)。システム開発の仕事がなくなることは考えにくく、SIerという業態もすぐには消えません。
問題は業界の存続ではなく、自分がどんな立ち位置で、どんなスキルを積めているかです。
「SIerやめとけ」と言われる理由
1. 多重下請け構造
大規模案件では、元請け→二次請け→三次請け…と階層が深くなりがちです。下の階層ほど、上流工程や顧客と直接話す経験が積みにくく、単価も上がりにくくなります。
2. 技術が古くなりやすい
長期運用のシステムでは、何年も前の技術を使い続けることがあります。最新技術に触れる機会が少ないと、社外での市場価値が伸びにくいと感じる人もいます。
3. 調整・ドキュメント業務の比重が大きい
SIerでは、顧客との調整や設計書・報告書の作成に多くの時間を使います。筆者もPLとして、顧客・ユーザーとの調整と説明が一番の負担でした。「コードを書きたい」人には物足りなく感じる環境です。
4. 内製化の流れ
DXの流れの中で、事業会社が自社でエンジニアを抱えてシステムを内製化する動きが広がっています。SIerに丸投げする案件は、長期的には減っていく可能性があります。
それでもSIerで身につく強み
一方で、SIerの経験は「つぶしが効く」側面もあります。
- 顧客折衝・調整力:業務要件を聞き出し、合意をつくる力は、Web系や事業会社でも不足しがちなスキルです
- 上流工程の経験:要件定義・基本設計を経験していれば、社内SEやPM職で評価されやすくなります
- 大規模案件の進め方:品質管理、テスト計画、リリース管理など、規模が大きいからこそ学べることがあります
- 業務知識:金融・製造・公共など、特定業界の業務知識は長く使える武器になります
SIerに残るべき人・外に出るべき人
| SIerに残るのが合う人 | 外に出るのを検討したい人 |
|---|---|
| 元請け・上流工程を担当できている | 三次請け以降で、上流に関われる見込みがない |
| 顧客調整やPM業務にやりがいを感じる | 自分でコードを書く仕事を続けたい |
| 特定業界の業務知識を深めたい | モダンな技術・開発スタイルで経験を積みたい |
| 今の給与・働き方に大きな不満がない | 年収や働き方を大きく変えたい |
外に出るなら、どんな選択肢がある?
- Web系企業:自社サービス開発。技術のモダンさや開発スピードを求める人向け
- 社内SE(事業会社):発注側に回り、ITで事業に貢献する。SIerの調整経験が活きやすい
- ITコンサル:上流・調整経験を活かして、より経営寄りの仕事へ
- 副業・フリーランス:会社に属したまま、あるいは独立して外の案件を経験する
いきなり転職を決める必要はありません。まずは「自分のSIer経験が外でどう評価されるか」を知ることが、次の一手を考える材料になります。
まとめ
- IT人材需要は高く、SIerという業態がすぐになくなることはない
- 「やめとけ」の正体は、多重下請け・技術の古さ・調整業務の多さ
- 大事なのは業界ではなく、自分の立ち位置と身についているスキル
参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」調査報告書(2019年3月)
執筆:平凡PL(SIer勤務・エンジニア歴10年/PL歴3年)
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